市役所で実施される弁護士の無料相談活用のメリットと注意点

弁護士を招いて無料相談を実施している市役所が、全国各地に存在しています。弁護士への相談に際しては、相談者が事前に弁護士事務所にアポイントを取り、足を運ぶスタイルが一般的ですが、ハードルの高さが否めない方も少なくありません。

その点普段から利用し慣れた市役所であれば、足を運びやすく、無料というメリットも見過ごせません。ここでは以下、関連する基礎知識と利用に際しての注意点をご紹介します。

市役所が無料弁護士相談を実施する理由

市役所が開催する無料弁護士相談は、あくまで市民に対する市井としての対応の一環であり、必ずしも全国各地のすべての市に、実施が義務づけられているものではありません。実施の告知に関しては、市役所の公式サイト上での配信や、市役所庁舎、あるいは該当する地域内の公共施設での告知書面の掲示などが用いられます。

招く弁護士の人選や人数、開催日時や相談者1人あたりに与えられる時間、予約に関する詳細なども、基本市が決定し、事前に告知されます。ちなみに地震や台風などの天災で、地域住民に甚大な被害が生じた場合など、被災に関する法律相談が優先される無料相談が、急遽実施された事例が少なくありません。

こうしたタイミングでの無料相談に際しては、相談内容が暗に制限され、被災関連以外の相談を希望する人が、予約段階で後回しとなる可能性も想定されます。あくまで安全かつ安心できる市民生活のサポートが目的であり、弁護士事務所が開催する無料相談とは異なる点が散見されます。

一般的な対象者の資格と会場について

市役所が主催する無料弁護士相談である以上、それぞれの市の判断に基づき、利用対象者に一定の資格制限が設けられます。会場となる市役所が在る市の在住者であることは、基本最低条件です。住民票を実家のある他府県に残したままの場合、現住所が市内であっても対象外と判断される場合があり、事前の確認が大切です。

その他「在学もしくは在職者」「何歳以上」など、市役所の判断で何らかの資格制限が設けられることが多く、こちらも要確認ポイントです。予約方法も市役所ごと、実施予定の無料相談ごとに異なり、まずは担当窓口に電話確認するのが確実です。

市政情報関連の窓口でも予約受付や質疑応答に対応する市役所も見られます。また実施会場も市役所本庁だけとは限らず、市が準備する市内に点在する公共施設の一室など、さまざまな形態で実施されています。市役所までの距離が遠い場合も、電話予約のうえ自宅最寄り会場に赴くことで、無料相談を活用できる場合もあり、開催場所もまた要チェックです。

なお、設定された開催日時に諸事情で参加できない、あるいは緊急性が高い状況の場合、各地域の弁護士会が実施している無料電話相談などを紹介してもらえる場合もありますが、細かい対応は市によって異なります。

利用時の注意点

弁護士事務所が実施する無料相談の場合、小規模な事務所であれば、代表を務める弁護士自身もしくは所属する弁護士など、当日対応してくれる相手の事前確認が可能です。弁護士にはそれぞれ得意分野が見られ、例えば借金問題で困っているのであれば、債務整理関連で実績が伝えられる相談先を選択するなど、相談相手を見極めた予約が可能です。

対して市役所が実施する無料相談の場合、当日担当する弁護士名が伏せられている告知も多く、予約段階でも相手がわからないケースが少なくありません。法律全般に広く深い専門知識を有するスペシャリストの弁護士ですが、相談者の悩みや相談内容に対し、担当する弁護士のキャリアや得意分野がミスマッチとなる可能性はゼロではありません。

たとえば年配の女性相談者の複雑な離婚問題を、独身の若い男性が対応するとなれば、法に基づく知識の助言だけに終始せざるを得ません。また無料相談の再利用に際しても、前回から一定期間を置かなければならない、あるいは同一内容の相談は、担当する弁護士が代わったとしても1人1回限りなど、何れかの制限が多く見られます。

これはより多くの市民に、極力公平に活用してもらうための制限ですが、当事者からすれば、解決の糸口をみつけられないまま、時間切れを迎えてしまうデメリットが想定されます。対応した弁護士との相性が今一つで、正式依頼に躊躇した場合、実質的なメリットが得られない無料相談と感じられてしまいます。

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すべての無料相談に共通する準備の大切さ

弁護士事務所を訪れる無料相談と同様、限られた時間内で、より確実に問題解決の糸口となる助言を得るのであれば、相談者側の事前の準備が鍵となります。弁護士との面談開始からどれだけ短い時間で、より確実にトラブルの内容と自身の意向を伝えられるかが、無料相談の意義を大きく左右します。

たとえば借金問題の相談にも関わらず、借入状況や延滞状況など、自身の現状を証明できる書面も持参せず、ただ窮状を訴えるだけでは意味がありません。隣人トラブルや離婚と慰謝料問題を、ただ感情的な言葉で愚痴るばかりでは、弁護士としても伝える言葉が見当たりません。

自分は市民であり、市役所に助けを求めているとの感覚から、弁護士事務所における無料相談と比較して、こうした困った相談者の比率が多いとも囁かれています。関連する書類は可能な限り揃え、自身の頭の中を整理する意味で、必要と思えば自作の資料も準備しましょう。

口下手で弁護士との質疑応答に自信がなければ、伝えたい内容をメモに記して読み上げたとしても、決して恥ずかしい行為ではありません。こうした準備の大切さは、あらゆる内容のすべての無料相談に臨む際に共通する、重要なポイントです。

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無料相談の次の段階に関する要確認ポイント

無料相談はあくまで「相談」であり、当日対面した弁護士が、その場で無料で問題解決に動いてくれることはありません。持ち時間終了後に、費用を負担して弁護士に正式に問題解決を依頼したい場合も、各無料相談ごとにシステムが異なっているのが一般的です。

一旦その地域の弁護士会への依頼から、相談者が依頼者を選択するのではなく、選任された弁護士が担当となる場合など、弁護士事務所主催とは異なるケースが想定されます。とりわけ過去に弁護士事務所が実施する無料相談の利用経験をお持ちの場合、予備知識から同じシステムだと思い込みがちですが、相談から正式依頼への流れの違いには要注意です。

先入観から思い込みだけで物事を進めてしまわず、面倒でも逐一確認を重ねる姿勢が大切です。市役所という「お役所」が間に入り、弁護士と市民の橋渡し的役割を担っているため、独自の決まり事が定められているケースが少なくありません。

利用した無料相談のシステムを正しく理解のうえ、次に打つべき一手を冷静に見極め、確実に問題解決に取り組む姿勢が大切です。